私がキレイになる理由

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私はキラキラしたものが好きだ。 セーターにも、ニットの帽子にもダイヤモンドみたいなのをくっつけたものを着て 唇はグロスをたっぷり まぶたもラメが入ったアイシャドウ 輝いてる人って素敵じゃない? 舞台でスポットライトを浴びて、そこに集まっている観客全員を惹きつけような人 そういう人って普通に街中を歩いていてもオーラが出ていてきっと目立つんだろうな スポーツ選手もそう 野球でも二刀流メジャーリーガーの ガンガン投げたり打ったりする姿とか バスケでスリーポイントシュートを決めたり、神業の様なパスをしたりしてる姿は 圧倒的で 思わずネットで試合のダイジェストを検索したりする そういう人って見てるだけで幸せになる。 なんか素晴らしいものをみて元気をもらってる感じ。 でも、私は残念な事にそういう能力を『持ってる』人間ではない。 なので物理的に外見を輝かしてる。 胸元にゴールドとかシルバーの大きなペンダントがあれば光が顔に反射して明るく見えるし 顔にもパールの混じったコンシーラーをつけて陰影をつけるのも素敵 輝いてる私をみて幸せになってる人いるかな? 少なくとも彼氏は惹きつけられてるから私の隣にいるんじゃない? デートの帰り、地下鉄で二人、電車を待つ間に彼にもそんな話をした。 『つまり、俺は光ってるものに惹きつけられてるの?』 俺は蛾なの? 笑いながら彼は言った。 『あれもあるじゃん、夜に砂浜に行ってライト充てたらもの凄い勢いで大量の虫がさ』 最強の推しをみた時のファンの集団みたいな? 『それも虫じゃん』 『光ってたら目立つし、目がいくのはわかるけど、それがその人に似合ってるかどうかもあるんじゃない?』 『そういう服装、似合ってて、可愛い』 彼は私のニットキャップを少し上にあげた。 『でも、すっぴんの時が俺が好きな時間だけどな』 えっすっぴんになるなんてそんな時間は… 『やだぁ、何言ってるの、もう〜』 私は照れくさくなって彼に抱きついた。 ホームに電車が入ってきた。 ライトで前方を照らしながら
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