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目を覚ますと俺はベッドの上にいた。
――あれ? 俺リビングで飲んでたんじゃ……もしかして潰れたから本庄が運んでくれたのか?
起きあがろうとして、そうではないと気付いた。両手が体の前で腕組みしたような形のままガムテープでぐるぐる巻きに固定されている。
「え? なんだこれ……?」
「起きましたか」
背後で声がして振り向くと、本庄が真顔でこちらを見下ろしていた。
「本庄? どういうことだよ。これお前がやったのか?」
――しかもよく見たら俺、全裸じゃん。あー、くそ! デジャブかよ。前にこんなことあったなおい。
嫌な過去を思い出しつつ、俺は相手を刺激しないように後輩へ優しく声を掛ける。
「なぁ、ちょっと落ち着こう。こんなことして篠田が帰ってきたらお前ボコボコにされるぞ?」
「大丈夫、遅くなると言ってましたから」
――そうだった。何とか早く仕事切り上げて帰ってきてくれ!
しかしそんな願いも虚しく、本庄は俺の秘蔵の品BOXを勝手に見つけて持ってきやがった。
「お、お前それなんで……!?」
――篠田にもみつからないようにって隠してたのに!
「はぁ、ちょっと部屋をあちこち覗かせてもらいまして……見つけちゃったんです。こんなものを隠し持ってるなんて、先輩って変態だったんですね。本当にガッカリです」
「ぐっ……。ガッカリさせて悪かったな! もういいだろ、しまっとけよ」
「そんなわけにいかないですよ。これを収めるべき場所に収めないことには」
そして本庄は箱の中からあろうことか大きな紫色のディルドを選び、取り出した。
――よりによって篠田モデルじゃねーか。
「収めるべきって、お前まさか……」
「さぁ、足を開いて」
本庄が俺の足を掴んで開かせようとする。
「いやいやいや! ダメだろ。お前俺のことそういう目で見てたのか!?」
「はぁ? 何勘違いしてるんですか。気味悪いことを言わないでください」
――こいつ何考えてやがる……?
本庄はこちらを睨みながら俺のスラックスと下着を下ろした。本庄に尻を向けるように横向きに寝かされる。
「や、やめろ!」
俺の言葉など全く耳に入らぬ様子で彼は無遠慮に尻たぶを掴み、両手で外側へ引っ張った。尻穴に空気が入ってスースーする。指導している後輩にケツを見られる気分は控えめに言って最悪だ。
「クソ! お前先輩のことをなんだと思ってるんだよ! こんなことしてただで済むと思ってんのか」
いくら酔っぱらい相手だからって礼儀がなすぎるだろ。
「俺はあんたと違って変態じゃないんで、本当はこんなことしたくないんです」
「はあ? じゃあなんで……うあっ、イテテテテ。ばか! いきなりそんなもん入るわけないだろっ」
驚いたことに本庄はでかいディルドを潤滑剤も使わずに突然尻に突っ込もうとぐいぐい押してきた。
「え、コレ入らないの? じゃあなんでこんなもん持ってるんです?」
振り返って本庄の顔を見ると心底不思議そうに首をかしげている。
――なんだこいつ……? 男と――というより女とするのすら慣れてないんじゃ??
「ローション付けて少しずつほぐしてからじゃないと入んないよバカ!」
「ああ、そうなんすか。教えてくれてどうも」
「あっ」
――余計なこと教えちまった!! つい後輩指導の癖で……くぅ!!!!
「ローションローション……ああ、あったこれか」
本庄は篠田モデルを置いて、一番細いディルドに持ち替えるとそこにローションを垂らし、俺の尻にも無造作に液体をぶちまけた。
「つめてっ」
そして尻の穴を棒でグリグリし始めたが、どう考えてもこの動きは性行為に慣れた手付きではない。
――なんの目的で俺のこと襲ってきたんだ?
不慣れな男の手であっても、俺の慣れきった尻穴は細いディルドを簡単に飲み込んだ。しかし――。
「おい、痛えよ!」
――動かし方が雑すぎてちっとも気持ちよくねぇ。なんだこれ……ヘッタクソ!!
これ、男の経験ある無し関係なく俺が女であってもこいつど下手なのでは? もしかしてこいつ童貞?
「気持ちいいですか?」
「よくねーわ! 見りゃわかるだろっ」
俺の息子は萎えきっていた。
「ですよね……うーん。とりあえずこれでもいいか……」
本庄はぶつぶつ言いながらスマホを取り出して、ディルドを入れられた俺の全裸写真を撮り始めた。
「おいおいおい! バカかお前、何撮ってんだ!」
俺は必死で顔をそむけて顔面が写らないように身を捩る。
「ちっ、これじゃダメだな……」
舌打ちした本庄は俺の腕のガムテープを剥がし始めた。やっと解放されるのかと思ったが、違った。
「この画像篠田さんに送られるの嫌ですよね?」
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