2人の愛の住処に邪魔者現る?

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「はぁあ!? んなの当たり前だろ!」 ――そんなことされたら篠田が怒って俺もこいつも何されるかわかんねーぞ。 「じゃあ、自分で気持ちよくなってください。これで――」  そう言って本庄は箱からまたディルドを取り出す。今度こそ紫色の篠田モデルをケツに入れろと言うのだ。 ――しかも自分で!? 「やだよ! 何でそんなこと……」 「じゃあさっきの写真送信します」 「どわー!! 待て待て待てわかった! オッケーやるやる、これだな? はい、やるよー」 「最初からガタガタ言わずにやってくださいよ」 ――なんなんだよ? うちの支店に来る輩はみんな頭いかれてんのか!?  俺はローションで滑る穴にディルドを当てて、少しずつじわじわと入れていく。 「ちゃんと勃たせて下さいね」 「んっ……なんだと?」 「だから、ついてるモノを勃たせろって言ってるんです」  本庄が真顔で俺の股間を指差す。 ――なんでだよ? 何のプレイなんだよこれは。  本庄はちっとも楽しくなさそうで、以前襲われたイケオジ支店長の時とは何か違う気がした。  そもそも酔ってて反応が鈍い上にこの状況で俺の息子はなかなか勃ってくれない。が、なんとか篠田に触られてるところを想像して勃たせた。 「へー。本当に尻に入れて勃つんすね」  腕組みをして見下ろす本庄が興味深そうにつぶやく。普段一緒に働いている奴の前でこんなことさせられて普通なら恥ずかしくて死ねるところだが、こいつがあまりにも淡々としているのでロボットの前でヤッてるみたいな変な感じがする。 「んっ……、お前は一体何がしたいんだよ……」 「それ、スイッチいれてください」  俺の質問には一切答えずに勝手なことを言う。 「くそ……俺の話聞いてんのかよ」 「入れて」  会話にすらならない。俺は仕方なく言うとおりにした。  カチッ。ブブブブブ…… 「あうっ……何でこんなこと……んっ」 「いやらしい顔ですね。篠田さんはこれに騙されてるのか……」  本庄はしゃがみこんで俺を観察している。 「は? 何言って……んっ。やだ、もうやめ――っ」  ディルドの振動のせいで、こんなやつの前で感じたくないのに気持ちよくなってきてしまう。 ――俺はこれだから篠田に怒られるんだよ! 「あぅっ。もういいだろ? やめようって……こんなの、こんなの……ひうっ!?」  本庄が急に俺のちんこを握ったのでびっくりした。 「すけべな汁が垂れてますよ。男に見られて感じるんですね」 「やめてくれ。触んな!」  本庄はそのままでかくてゴツゴツした手で上下に扱きだした。 「んっ、やめろ……!」 「これくらいでいいかな」  俺が涙目になったところで手を離してまたスマホのカメラを構えはじめた。その後左手で俺のものを扱きながら右手で動画を撮影している。 「や、やめろ。だめ、だめだこんなの……っ! やだぁ」 ――なんでだよ!? 何が目的なんだ??  どうやら俺を犯そうとかそういう目的ではなさそうだ。この動画で俺を脅すつもりか? 俺そんなに金なんて持ってないぞ。 「もう離してくれっ」  本庄が俺のものをしごいていた手を止めて言う。 「じゃあ篠田さんと別れて下さい」 「ふぇ……? なに?」  本庄がスマホを置き、ディルドのスイッチも切った。 「だから篠田さんと別れてここを出て行ってください。じゃないと今の動画を社内メールでばら撒きます」 「はあっ!? バカかよ。何考えてんだ!?」 ――この動画をばら撒くだって!? 「嫌ですよね? こんな姿、会社の人に見られるの」 「そんなのっ……ていうか篠田と別れろって何??」 「あなたみたいな淫売が篠田さんのような優秀な男をたぶらかしてダメにするのを自分は我慢できないんです」 「はぁあ~~!?」 「あなたが出ていけば、自分がここに住めますし」 「んな、何言ってんだよ。そんなわけないだろ!?」 「とにかく、この動画が……あっ?」  スマホを掲げて示した本庄の手からそのスマホが奪われた。 「篠田!」 ――よかった、帰ってきてくれた! 「動画ってこれか? はい削除。こっちの画像も削除、と」  篠田が本庄のスマホを操作する。 「篠田さん、なにするんですか!」 「それはこっちのセリフだ本庄」  慌てる本庄に向ける篠田の視線は冷めきっていた。 「篠田さん、あなたは騙されてるんです、この男に! こんないやらしい変態といたらあなたまでおかしくなっちゃいますよ!?」 「おかしいのはお前だ。この人は俺の大事な恋人だ。お前がしたことは目的が何であれ許されることじゃないぞ」 「篠田さん、俺はこの人と別れて篠田さんにまともになって欲しくて……」 「それがとんでもない勘違いだと言ってるんだ。警察に突き出されたくなかったら今すぐ俺の前から消えろ」 「くそ! 何で誰もわかってくれないんだよ! 篠田さんならわかってくれると思ったのに!!」  よくわからないことを喚いて本庄は出て行った。篠田は玄関の鍵をかけると寝室に戻ってきて俺を抱きしめた。
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