墓荒らし部に乾杯

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 学年でもトップを競うバカで、性格もバカみたいに悪いんだよ、私は。私はいつだって由美のことを構ってやってるようにしてたけど、やっぱり私は、私だって由美みたいに友達なんていなかった。嫌われ者同士が、しょうがなくつるんでるみたいな。いや、由美は嫌われ者なんかじゃなかった。 「考えちゃうの、もし私が死んじゃったらって」 「縁起でもない、なんだよ急に」 「だって、墓荒らしってやっぱり亡くなった人の墓を掘ることが一番の活動じゃないの。バスケ部よりバレー部より。ずっと思ってるの、死んだらどうしようって」 「入ったことないくせに、バスケ部とかバレー部とか」  由美の言う通り、墓荒らし部はずうっとずっともし死んだらどうしようなんて考えさせるような部活だった。文化的意義というのを感じる、という鈴木の言葉は間違っていないのだった。近所の人たちが、もう亡くなってから三十年経ちます、でもやっぱり業者の人は高いし、かといって自分で掘り起こすことももう年だからできないんですなんて最初に泣きついてくるからだ。  当たり前だけれども、その死んだ人を悪く言うような人はいなかった。こんな魅力的な人で、私はそんな人が好きで、ずっと愛していて。こんなに仲良くしていて、若い頃には一緒にこんなことをして。私はその度に、こんなふうに自分を好きでいてくれて、ずっと経ってからも愛してくれていて、わざわざ頼みにきてくれる人がいるのか不安だったのだ。 「それでね舞花ちゃん、私がもしね、死んだら舞花ちゃんに墓を荒らしてほしいなんて」 「時間があったらな」
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