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その次の日。
「まーゆーみっ、おはよぉ」
「綺愛羅」
奴は現れた。綺麗、愛する、羅生門。そう書いてキアラと読む。キラキラネームの弊害の代表作みたいな名前だ。私は今、こいつのことが大っ嫌いで連絡は取らないぐらいなのだけど、この時は重荷で重荷で仕方なかったのだ。
「えへへぇ、今日の宿題の理科ノートの考察やった?キアラさあ、理科とかねるねるねるねしかわかんないわけ。だから真弓、得意でしょ、やってよ」
「ごめ、私、昨日塾あったからまだできてなくて」
「は?」
息をのんだ。見かけは明るいのに、自分の思い通りにならなかったらいつだってこの顔だ。
「真弓、キアラが理科嫌いなの知ってるよね」
「うん、だからほんとにごめん。休み時間中にやっておくね」
「うーんそうでなくっちゃね。やっぱり真弓は親友っ!」
親友。だから私は、ちょくちょく他の友達たちに心配されるのにそれでいじめじゃないと言う結論を出してしまう。私は気が強くなかった。こいつと違って。
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