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次の日。私の心がこの上ないぐらいにドキドキした。
「んねぇさっきの授業の田上見たぁ!?ドヤ顔切って『スイジョーチカンホーです』って答えてたのに間違ってやんのっ、バカよねーぇ」
「あはは」
乾いた笑いがでた。
「アンモニアは水に溶けまくっちゃうからね」
「わかんね、んなこと言ってわかると思ってんの?カッコつけじゃん」
気の弱い田上さんにも聞こえる大声だった。遠くで田上さんが居心地の悪いような顔をしていたので、私はテレパシーでごめんと言っていたつもりだった。田上さんはあの時の綺愛羅に理科ノートを代わりに写させた人なのだ。
「ってかさ、田上って地味なくせにさあぁ」
田上さんは何もないだろっていうのと、おじさんのいう言葉がずっと頭の中に響いていた。
「見て綺愛羅!あれ、なんだろ」
田上さん、私はやってやるよ。
心の中で、うおおおおおおおっと雄叫びをあげた。綺愛羅はなんだ急にと目線を逸らしている。私は見ていないうちに綺愛羅に向かってスカートを上げて下着を見せた。
「ごめん、ごめっ、何もなかった」
「何、急に。なんもねーのにウルセェ。ないくせに何言ってんの。ってかなんで息荒いの?きっしょ」
あんたの負けだ綺愛羅と心の中で叫んだ。あんたが普段うざったいくらいに絡んでいる私はただこんな時に女の子に下着見せるようなバカ変態なんだと勝ちまで宣言した。
「私バカだから!なんもなかったのになんかあるように見えちゃったの!」
「あっそ。田上よりお前の方がバカってことわかったわ」
「あは」
田上さんと目が合った。田上さんがその瞬間を見ていたかは知らないけれど、バレないように私なりににっと笑って親指を立てた。田上さんが感動した顔をしてこちらへお辞儀した。
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