1人が本棚に入れています
本棚に追加
/48ページ
学校が終わった後、制服から私服に着替えて、塾もないのに好きな漫画家にファンレターを書くためにハガキを買うというやや無茶な口実を使って遅い時間帯に家を出た。
「おじさん」
「お嬢ちゃん」
マックスバリュからちょっと離れた、少し寂れた郵便局の隣でくたびれた格好をしておじさんはタバコを吸っていた。
「あ、あの、おじさん、今日学校でっ」
「君はもう僕に会わない方がいい」
「なんでっ」
決まってるじゃないかと前置きをした。おじさんは副流煙が悪いことを知っていて私のためにタバコの火を灰皿に押し付けた。
「僕は不審者だからだ」
「違う」
「おじさんのおかげで、田上さんみたいな、田上さん以外にもたくさんの人を救えた」
先生から見て私はバカじゃなくても、綺愛羅の前では私はバカだった。それで、綺愛羅が他の人をバカにしようとするたびに、私は他の人が霞むくらいにバカになった。身代わりだってそりゃしんどいけれど、そんな時はちょくちょくバレないようにあの時みたいにした。だってそしたら綺愛羅が一番のバカになる。
「僕はタウエさんなんて人は知らん」
「そうじゃなくて、手段の話を」
「君は僕に洗脳されすぎたんだ」
はっとした。そうじゃなかったら、私はどうしてこんな人を正当化し続けているのかが分からなかったからだ。ただ綺愛羅を陥れたかったためなんじゃないかという結論が出てしまった。
最初のコメントを投稿しよう!