墓荒らし部に乾杯

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墓荒らし部に乾杯

「みなさま、グラスは持っているでしょうか。それでは」  十数年たった鈴木部長は、まだ若いというのにもう前髪の量が少なくなっていた。十数年ぶり、中学校の部活の同窓会だから、まあ仕方ないよな知らないうちに髪の毛ぐらい少なくなっててもと自分を納得させた。  遅刻魔の関は、それも相変わらずに予定から一時間くらい遅れてやってきた。野菜が嫌いでずっと給食も死ぬほど残しては怒られていたのも変わりなく、今でも肉しかない茶色の食事をとっている。  部活の同窓会というと、やっぱり大人数でざわざわとしているように見えるけれども、やっぱり私の部活は他の部活に比べるとマイナーで、運動部の中でもバスケ部、バレー部なんかによく人数が少ないことや、そもそもそんな部活があったのかなんて反応をされたものだった。  すらっとした感じのさっぱりした部員や、当時そのままに変わっていないような部員なんかそれぞれ少ないなりに揃っていて、欠席者も思いの外少なかったと部長は言っていた。いないとは言えど、それなりに部活が同じで三年間を一緒に過ごしてきた仲間だから結束力はあって、話なんかも盛り上がってきた。  関は野菜は食べないくせにこっそり乾杯前にビールを飲んでいて、そのうちの1人の同級生だった高木にバカお前、乾杯前に飲んでんじゃねえよと小突かれていた。お前のせいでこぼれたじゃねえかと言い返す、知るかよ今乾杯前だぞと言い返されている。  変わらないようにわちゃわちゃとしているので、そんな2人を見て、その後にちゃんと全員がグラスを用意しているのを知って、良さそうかなとつぶやいた後に、 「小京大学附属小京中学校、墓荒らし部に、乾杯!」
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