墓荒らし部に乾杯

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 かんぱーいとなんやかんやで乾杯することはできた。中学校の同窓会なんて学歴もその後の生涯もバラバラになっていて、それぞれがどんなことを今しているかなんて話に盛り上がっていた。明らかにおバカキャラで、抜けているようなやつだったのが警察官になっていたり、あるいはしっかり者だったのに不思議な職業についていたり。  一気にそれぞれの飲み物をごくごくと飲み干した。まさに麦といった味のビールで、昔話をするには苦すぎる味だと思った。関がもう酔っ払ったらしく、その居酒屋の床に寝っ転がって釣り上げられたばっかりのマグロのモノマネと言ってじたばたとビチビチしているので、思わず笑ってしまった。 「いやあ、来なかった人も来れなかった人も多少いるとはいえ、こんなに墓荒らし部の人と会えて嬉しいよ!」 「お前なんかさ、マジで俺ほんっとに俺から遠いところ住んでるしさ、ほんっと同窓会開催してくれなかったら会えなかったかもしんない」 「俺はこのために仕事休んできた」  枝豆をもぐもぐとしながら、わいわいとした話を聞いていた。私は同窓会に来たら会えるかもしれない、と思っていた人が来ていないから、少し残念に思ったけれど、昔の友達たちが今も仲良くしているのを見るのは微笑ましい。   「いやはや、墓荒らしというのは実に素晴らしいよ!」 「また出た」  墓荒らしについて一番熱心だった部長が、酔っ払って墓荒らしの素晴らしさを語り始めた。酔っ払っていなくとも、常時、本当に常に墓荒らしを語っているようなやつだったので、またこれも懐かしいなと呆れながらも聞くことにした。
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