墓荒らし部に乾杯

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「ことの始まりは平安時代!藤原家の名貴族、藤原墓嵐は絶世の美女、大野大町に百日私の家に通い詰めてくれたら結婚を認めてくれるという約束をし、九十九日間通い続けることに成功する!」 「うるせえよクソメガネ」 「これで何回目だよ」 「七十七回目」 「数えてんのかよきっしょ」  部長が毎回、墓荒らし関係でいいことがあるたびに平安時代からのふじわらのはかあらしさんの話をしてくるので、私はその度に二十一回目、三十五回目とカウントしていたものだった。きっしょと返されたので、お前前歯にノリついてるけどなきっしょと返した、返した高木が不機嫌そうな顔をしている。 「そこで大町ちゃんが一日前で死んじゃうんでしょ、それで墓嵐が泣く泣く大町ちゃんを土に埋葬する。それから数十年してみんなが大町ちゃんを忘れた後に、墓嵐は誰からも知られないひっそりとしたところで墓を荒らし喉仏を大切にした」 「よく知ってるじゃないか、さすがだ!」  お得意のセリフを取られたから不機嫌になるかと思いきや、そうでもなかった。私は褒められたのが嬉しかったから、ついでに 「だから藤原墓嵐のおかげで定着したんでしょ土葬が。日本以外のすべての国はほぼ例外なく火葬」 なんて言った。鈴木部長はやっぱりそれを聞いて覚えていてくれたのかと感激してこっちに抱きついてきているので、私はそれを華麗に避けた。
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