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「ねえ、あやめちゃん
こないださ、マキくんが配信してたんだけど
その時してたネックレスがいいんだよね〜」
モモがどこを見るでもなく幸せそうにニヤついている。
「・・て、わけで、、買っちゃいました〜!」
自慢げに首に下げたままモチーフをつきだす。
「え? モモ・・その色好きだったっけ?」
その一言でにやけ顔から途端に表情が消える。
「あ? 昔から好きだったけど?」
「・・・あ」
なんかごめん・・あやめは声にならに声を漏らした。
そう、モモに推しができたのだ。
「ねえねえ、あやめちゃんこないださ
マキくんが肉じゃが作るとこ配信しててさ
豚肉入れるのに手こずってて可愛いの」
「へー、うちは肉じゃがは牛肉・・」
「は? 牛肉? 知らないし」
「じゃ、今度うちの肉じゃが・・」
何の気なしに微笑みながモモの顔を見たあやめに
「肉じゃがに牛肉?!」
「・・うん」
「牛肉?!」
ぴくりとも笑わないでグイグイ詰めてくる。
思わず視線を逸らしたあやめはぐっと口を閉じた。
今までのモモとなら
『いいねー!リッチじゃん!』
『西はそうなんだよね』
『へー!面白いね!』と
ニコッと笑うモモとたわいもない会話を楽しんだだろう。
「マキくんが言うのよ? 肉じゃがは豚だって!」
あやめを見てホイップを舐めながら
イタズラっぽく笑うモモはもうそこにはいなかった。
「んで、マキくんがね
「マキくんもさ
「マキくんたら
あやめはマキくんの話にうんざりし始めていた。
・・・・うるさい。
いつしか、あやめにとってモモは
ノイジーなスピカーになっていた。
距離を置こう。
あやめは生活パターンを変えた。
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