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・・・・しばらくモモと会う事はなかった。
が、ある日
「久しぶり〜」
モモだった。
親しげに寄ってくる。
あやめは聞こえないふりをしながら黙々と歩き続けた。
「どうしたの〜?」
モモがついてくる。
「おーーーい」
マキくんの事など忘れたように見えたモモだったが
あやめは更に公園の奥深くへ逃げるように歩き続けた。
「コーヒーでも飲まない?」
モモの声が追いかけてくる。
垣根が腰丈まである
木々が茂る裏手の入り口あたりであやめは振り返った。
小走りであやめに近づくモモ・・
「この公園の向こう側のカフェに行ってみようよ」
無邪気に向こうを指しながらモモが言う。
「こんな道があったんだんね〜」
モモは一人で話続けている。
「マキくんも探索が好きでさ、細かい道色々知ってるんだよね」
あやめの下瞼がピクッと動いた。
「なんかさ、この間も配信しててさ
その時、話しながら何気に袖まくるのよ。
あざといよね〜。もうさ、チャットがわいちゃって・・」
まただ・・それでもひたすらマキくんの話を聞き続けた。
モモの意見はマキくんの意見・・
モモの好みはマキくんの好み・・
コーヒーにホイップを乗せることもなくなっていた。
距離を・・置いたのに・・・
公園に一瞬の静けさが満ち
撫でる程度の風がさわっと吹き抜けた。
あやめはモモの正面に立つと
刃先まで手入れの行き届いた美しい短刀を
モモの左胸部へ丁寧に差し込んだ。
あやめは恍惚の表情を隠すことなくモモを見下ろすと
ツカから伝わる肉の感触を味わった。
「・・・久しぶり」
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