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「雄馬くん……」
悪いとは思ったが家の中に入った。玄関はきれいだった。下駄箱はない。なのに靴は一足もない。そう、雄馬くんの靴も。
まさか靴を履いたまま家に上がったのだろうか。そんなのおかしい。
「雄馬くん!」
ふと、上がりかまちの床板が少しずれている事に気がついた。僕はそれを持ち上げた。するとその下には階段があった。
いけないとは思いながらも僕は階段を下りた。下りても下りても階段は終わらない。どうなっているんだ。
どれくらい下りただろうか。下の方に明かりが見えた。急に怖くなり引き返そうと後ろを向いた時だった。
「友也くん!?」
雄馬くんの声だった。
今度は長い長い階段を上に上った。雄馬くんも一緒だった。
「階段は上り専用。下りる時は滑り台を使うんだ」
僕と雄馬くんは玄関に戻ってきていた。僕が上げた床板の横の床板を雄馬くんが開けてみせた。スロープになっていた。
「ごめんなさい、勝手に入っちゃって。あ、小さい家だと思ったら地下があったんだね。だったら兄弟たくさんいても大丈夫だね」
物凄くバツが悪い。
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