日常の崩壊

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「友也くん、誰にも言わないって約束できる?」 「え、う、うん勿論。約束するよ」  雄馬くんは僕を茶の間らしき部屋に案内してくれた。きれいに片付いていて全く生活感がない。 「ここは家庭訪問とか、お客さんが来た時だけ使う部屋なんだ」  ちゃぶ台の上には薄っすらとホコリが積もっていた。座布団も少し湿っぽい気がした。 「昼間、住む星をなくした宇宙人の話をしたよね」 「うん」 「元々いた地球人はどうなると思う?」 「えっと……仲良く共存……できたらいいな」  雄馬くんはゆっくり首を振った。 「ダメだったんだよ。あの頃地球人は科学力なんて持っていなかった。洞窟や大きな木の下に住んでいた。小さな虫や木の実を取って食べていた。家も車も何にもない。見渡す限り草原だった。そんな原始の世界に突然UFOに乗った宇宙人が現れたらどうなると思う?」  違いは歴然だ。大人と子どもの差どころの話ではない。人間とだんご虫ほどの違いだ。 「宇宙人はすぐに家を建て始めた。道路を作った。地球には人はいないかのように自分たちの町を作っていった。自分たちとは見た目の違う地球人を気持ち悪がって排除した。地球人は生活する場所を奪われた。そして地下に潜ったんだ」 「地底人……」 「そう、地底人こそ元々の地球人、そして地上で暮らしている君たちが宇宙からやってきた地球の侵略者(インベーダー)だ」  自分が宇宙人の子孫だったなんて。雄馬くんたちを地下に追いやった侵略者だったなんて。 「ごめんなさい。僕の祖先がそんな事をしたなんて。知らなかったじゃすまないよね」  僕は頭を深くさげた。
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