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お昼休み、僕は雄馬くんにグレイの絵を見せた。
「上手く描けてるでしょ? こんなのが地球にたくさん来てるんだって」
僕の絵を見ながら雄馬くんは眉をひそめた。
「こんなのはカモフラージュだよ。宇宙人はこういうヤツだって地球人に印象付けてるだけだ。本当の宇宙人は既に地球人の中に紛れ込んでいるんだよ。何食わぬ顔で普通に生活してるんだ」
「えっ、本当?」
「うん。そして世界の要人になって地球を牛耳ろうとしている。いや、もう既になっている」
「じゃあ地球は宇宙人に乗っ取られちゃうって事?」
「これが初めてじゃない。今までにも何回もそんな事はあった。でも地球人が何とか阻止してきたんだ」
「そうなの!? 知らなかった」
雄馬くんは他にも色々教えてくれた。最先端技術だといって環境や人間に良くない物を世界に広める宇宙人もいる。戦争や争いをさせようと裏で世界を動かしてる宇宙人もいる。そうやって地球人同士戦わせて自滅させようとしている、とか。
「分かる気がする。そうか、地球温暖化とか砂漠化とか環境破壊とか、みんな宇宙人の仕業だったんだね」
「うん。だから地球人はもっと知恵を持たなければいけない。判断力を持たなければいけない」
「だから雄馬くんは一生懸命勉強してるんだね」
「友也くんもやらないと、地球を侵略されてから後悔しても遅いよ」
「そうだね」
雄馬くんにそう言われ、勉強する意欲が湧いてきた。が、意欲だけだった。ついついテレビを観たり漫画を読んだりしてしまう。
もしかしてテレビや漫画も宇宙人の策略かもしれない。地球人から思考力を奪い、無気力にさせる作戦なのかもしれない。
でも勉強より漫画の方が面白い。これじゃダメだと思いながらも誘惑に負ける日々を過ごしていた。
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