非日常

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非日常

『みなさん、すぐに体育館へ避難してください!』  授業中、突然スピーカーから校長先生の怒鳴り声が流れた。 「え、地震? 火事?」  みんなは教科書を放り出して立ち上がった。 『落ち着いて先生の言う通りに避難してください』  今度は抑えた声で校長先生は言った。揺れていないので地震ではない。焦げ臭くないから火事でもなさうだ。そんなに急ぐ事はないようだ。もしかしたら抜き打ち避難訓練?   きっとそうだ。そう思うと泣きべそをかいてる女子や慌ててランドセルを頭に被ってるクラスメイトの姿が滑稽に見えた。 「きっと訓練だよ。みんな慌てて、面白いな」  そう雄馬くんに話しかけた。しかし、雄馬くんは窓の外、上空を睨みつけていた。 「え、UFOでもいた?」  僕も上空を見上げた。 「うわっ!」  思わず大声を出してしまった。空にはおびただしい数のUFOが群れをなしていた。次第に数も増え空一面UFOが覆い尽くした。 「キャーー!」  みんな我先にと教室から飛び出した。 「みんな、一列に並んで、待て、待ちなさい!」  誰も先生の言うことなんて聞いていない。他のクラスからもみんな飛び出してきて廊下は人の波ができていた。 「僕たちも早く逃げよう!」  僕は雄馬くんの手を掴み引っ張った。しかし雄馬くんは僕の手を振り払った。
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