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「奴らは地球を侵略しようとしている」
「え! 悪い宇宙人なの?」
「そうだ。今の地球の科学力ではとても叶わない……行かなきゃ!」
「え、行かなきゃって、雄馬くんはまだ小学生だよ!」
雄馬くんは僕の肩をグッと掴んだ。
「僕が地球を守るから。絶対に」
雄馬くんは力強くそう言うと、みんなとは反対の方へ走って行ってしまった。
「雄馬くん、危ないよ! 逃げなきゃ、一緒に逃げようよ!」
しかしもう雄馬くんの姿は見えなかった。僕は人波に押され体育館へと流された。
いったい何が起きているのか、先生は教えてくれなかった。僕たち児童はクラスごとに固まっていた。
時々爆発する音や稲光が走った。そのたび女子も男子も関係なく抱き合って震えていた。
お母さんやお父さんはどうしてるだろう。お祖母ちゃんやお祖父ちゃん、そして雄馬くんは……。
僕はトイレに行くと言って体育館を出た。体育館の入口にトイレはあるので外には出なくてすむ。
僕は用をたしながら恐る恐る窓の外を見た。
「うわっ!」
おびただしい数のだんご虫が地上を覆っていた。校庭や道だけではない。家々も覆い尽くし見渡す限りだんご虫だ。しかもよく見ると普通のだんご虫よりもかなり大きい。僕と同じくらいの大きさだ。そして顔が、雄馬くんだ……。
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