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だんご虫たちは硬い殻を上にして這いつくばっていた。まるで地球を抱きしめるように。そしてゆっくりと深呼吸をしていた。おのおのが吸って吐いてを繰り返し、まるで地面が波打っているようだった。
空に浮かぶUFOはさっきよりも少なくなっているように見えた。
「あ!」
UFOが一機地面へ向かって一直線に落ちていく。下には人家がある。大変だ!
しかしUFOは空中分解し始めた。機体がバラバラになり、粉々になり、そして塵となって消えた。
いったい何が起こったのか?
僕は体育館に戻らずずっと外を見ていた。一機、また一機とUFOは消滅し、そして夜になる頃には全てがいなくなっていた。
空にUFOがいなくなるとだんご虫たちは大移動を始めた。皆同じ方向に向かっている。そのうちの一匹がこちらを見た。やっぱり雄馬くん顔だ。
『昨日日本とアメリカによる抜き打ちの大規模軍事訓練が行われました。上空で多数の戦闘機が飛び交い驚かれた方も多かったと思われます。しかしこれは訓練であった事が政府より正式に発表されました……』
翌朝のニュースでアナウンサーが引きつった笑顔でそう話していた。違う。嘘だ。あれは宇宙からの侵略行為だったのだ。そして地球を守ったのは紛れもなく雄馬くん顔の巨大だんご虫だ
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