戻ってきた日常

2/3

13人が本棚に入れています
本棚に追加
/12ページ
「地球人にとってなくてはならない酸素。それが他の星の人にとって毒だとしたら?」 「酸素が毒?」 「うん。他の星には殆どない。それは毒だからだ。こんな毒ガスだらけの地球を侵略しても住む事もできない。だから宇宙人は地球に攻めてはこないんだ」  宇宙人にとって酸素はそんなに危険な物なのか。 「でもたまには酸素のある星もある。酸素があると言うことは緑豊かな星という事だ。そんな星の住人は他の星を攻めようなんて思わない。みんな穏やかで優しいからね」  確かに緑豊かだったらわざわざ他の星に行こうなんて考えない。空気もない岩ばかりの荒れた星になんて住みたいとは思わない。 「あ、でも既に地球には宇宙人が紛れ込んでるって言ってたよね?」 「うん。地球に来る理由は様々だ。地球の文化を学びにきてる宇宙人が殆どだよ。ただ、自分の星の寿命が尽きて、それで移住しに来る宇宙人もいる」 「え、それは可哀想だね」  僕の言葉を聞いて雄馬くんは複雑な顔をした。 「星ひとつ分の人間が移住して来るんだ。元々地球に住んでいた人間よりもたくさんの人間が。それも高度な科学力を持っている。体格だって大人と子どもくらいに違う。なら、元々の地球人はどうすればいいんだ?」  そこまで言うと雄馬くんはハッと顔を上げた。 「もう授業始まるよ」  雄馬くんは机の中から教科書を出し始めた。僕は自分の席に戻った。
/12ページ

最初のコメントを投稿しよう!

13人が本棚に入れています
本棚に追加