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日常
「ねえ雄馬くん、夕べのオカルト特番見た? 面白かったね」
教室に入ると雄馬くんは席で難しそうな本を読んでいた。
「友也くん、先ずは挨拶だよ。おはよう」
「うん、おはよう。でさあ、宇宙人って本当にいるんだね。はっきりカメラに映ってたね。最近はどこにでも防犯カメラがあるから映りまくってるってアナウンサーが言ってた。会ってみたいなあ、宇宙人に」
夕べの興奮が冷めやらぬ僕は雄馬くんにまくし立てた。雄馬くんは嫌な顔ひとつせずに聞いてくれた。
「宇宙人に会ってどうするの? 地球を侵略しに来たのかもしれないよ」
「そんな事ないよ。地球に来られるほどの科学力があるんだ。侵略したかったらとっくにしてるよ。きっと調査とか観光とかに来てるんだよ」
「観光かぁ。だったらいいんだけど」
他の同級生は僕が宇宙人とか幽霊の話をすると「5年生にもなってそんな話信じてるの?」とバカにする。でも雄馬くんは真面目に話を聞いてくれる。なんなら僕より超常現象に詳しい。
「また後で話しようね」
「うん」
先生が教室に入って来たのでみんな席に着いた。国語や算数なんかより、もっと勉強したい事がある。僕はノートに夕べテレビで観たグレイの似顔絵を描いた。
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