『イリアス』――ギリシャ神話の叙事詩

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Q:どうしても、ヘクトルなんだね。でも、ゼウスはトロイア側なの? それとも最後はギリシアが勝つから、結局、ギリシアの味方なの? A:凡人のあたしに、最高神の壮大な計画なんて、わかるわけないでしょ! せっかくだから、『イリアス』大ざっぱなストーリーを追ってみようか。 ・ギリシア軍の最強戦士アキレウスは、手柄の割に粗略に扱われ不満が鬱積。ついに「やってられっか!」キレて、戦線を離脱する。 ・アキレウスは、母親である女神テティスに「ママ~、ギリシア軍のあいつらをなんとかして」と訴える。 ・女神テティスは可愛い息子のため、ゼウスの膝に取りすがる。 ・ゼウスは、「ヘラが恐いな~」とぶつぶつ言うが引き受けて、ギリシア軍を苦しめることにする。 ・さらにヘクトルが大好きなゼウスは、彼の名声を上げたい。神の力添えで、ヘクトルはギリシア軍の戦士をどんどん殺す。よってギリシア側は犠牲者が続出。 ・ヘクトルは、アキレウスの親友パトロクロスを殺す。それまで引っ込んでいたアキレウスは、親友の仇ヘクトルを討つため、ついに出動。 ・ゼウスは、それまで神々の戦闘への干渉を抑えていたが、解禁する。 ・神様同士でガンガン戦うもんだから、犠牲者続出&天変地異。ゼウスはとーっても、ハイな気持ちになってしまう。 ・アキレウスはヘクトルを殺す。死体になったヘクトルは、気の毒にもアキレウスのおもちゃにされる。 ・ヘクトルの父親プリアモス王は単身アキレウスの元に乗り込む。莫大な身代金と引き換えにヘクトルの遺骸を取り戻し、無事に葬儀が行われて『イリアス』終了。 Q:最初にストーリーぐらい説明してよ。で、ゼウスの壮大な計画ってなんなの? A:だ・か・ら、わからないって言うのに! ゼウスは、自分のお気に入りの人間の名声を上げるために、有名無名の犠牲者を作ってるよね。人間たちも、神々こそ戦争の原因だと、しばしば嘆く。 それに戦争や天変地異が起きると、ゼウスはハイテンションで気持ちよくなっちゃうらしい。 ……これってどう考えても、RPGのラストボスそのものじゃない!! アキレウス、君は間違っていたよ。RPGのセオリーなら、ここで真のボスの正体に気がつくべきなんだよ。 真の敵はヘクトルじゃない! 神々のゼウスに決まっているじゃないか! 最高難度のダンジョン、オリンポス山の頂上をめざして、ラストボス、神々の父ゼウスを倒すんだ!! ……あ、ゼウスが倒れたらギリシア神話終わっちゃうか。
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