Chapter.1

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「なにトロトロ走ってんの? これ以上 時間を無駄にしないでくれない? 」 「このっ……! 」 梨々華に怒鳴りつけようと 横を向いた瞬間だった。 ドンッ 車が何かとぶつかる音がした。 慌てて拓也は急ブレーキを踏む。 「なに……、今の……」 流石の彼女も顔が青ざめていた。 拓也はフロントガラスの向こうに 目が釘付けになる。 青いチェック柄の服が見えた。 拓也の全身から血の気が引く。 呼吸が上手くできなくなり 口から息を吸うのが精一杯だった。 「あれ、人……? 」 どちらかが発した言葉が脳内で木霊する。 動けない拓也に変わって 梨々華が車を降り、“何か”に駆け寄った。 屈んで “それ”を見つめている後ろ姿が見える。 拓也は慎重にシートベルトを外し、 ドアを開けた。
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