Chapter.1

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「どうだ……? 」 我ながら間抜けな質問に 梨々華は沈痛な面持ちでかぶりを振った。 栗毛色の柔らかそうな髪が揺れる。 やっちまった…… 拓也の視界が真っ暗になる。 故意ではないとはいえ、 人を轢いたらどうなってしまうのか。 懲戒免職は免れなく 懲役や罰金刑、 遺族からの民事訴訟もあるだろう。 いや、自分の事だけではない。 たった今、拓也はひと一人の人生に 終止符を打ってしまったのだ。 その罪を一生背負って 生きていかなければならないのだ。 「……や、拓也」 「え?」 「デカい布とかない? 毛布とかバスタオルとか何でも良いけど」 「あ……、ビニールシートなら。 でも何で? 」 「拓也、落ち着いて聞いて」 梨々華がいつに無く 真剣な眼差しを送ってくる。 「このまま 通報するならあたしは止めない。 それはそれで間違っていないと思う。 でも、今なら他の選択肢もある」 「な、なんだよ……? 」 「無かった事にするの、今夜起きたことを」 そう言うと梨々華は トランクから青いビニールシートを出すと テキパキ動いて“それ”を包む。
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