Chapter.1

6/19
前へ
/19ページ
次へ
「ねえ、足持ってくれる? 拓也の為にやってんだよ? 」 「お、おい、待てよ、何する気だよ」 「分からない? この死体をバレないように始末するの。 バレなければ罪にも問われない」 「もしバレたら……? 」 「ダメでもともと。早く足持ってよ」 拓也は慌てて動き、死体の足を持つ。 それは思ったより冷たく固くて ただの物質のように思えた。 二人でトランクに運び入れ シートに滑り込んだ時 思わず大きなため息をついた。 「安心するのはまだ早いわよ。 むしろ本番はこれから。 どうやって死体隠すか考えないと」 「埋めるとか、海に流すとかか……? 」 「悪くはないわね。 でもまだ考える時間はあるわ」 そう言って梨々華は額の汗を手で拭う。 「とりあえず家に戻りましょ」 拓也は車を切り返し 元きた道の方へ車を向ける。 そして二人は走り出す。 もう後戻りできなくなった暗い道へと。
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

12人が本棚に入れています
本棚に追加