壱 地元の心霊スポット

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「これで一階は全部か? なんか想像していたよりも小せえな……」  トイレを見終わった後、エバラが皆思っていたことをなんとなくその口にする。  そうなのだ。〝人肉館〟はもともと大きな建物ではない上に、店の構造状、部屋数も少ないのですぐに見終わってしまうのだ。 「やっぱなんかつまんねーな……おおーい! 店主でも愛人でも、なんでもいいから出てこいやーっ!」  加えて霊現象が起きるでもなく、なんの変化もないことに退屈したモッチャンが、ますます挑発するようなことを叫び始めた。  ま、もともといない幽霊がそれで怒るわけもないだろうが、なんとなく不謹慎だし、心のどこかで祟られるんじゃないかというような気もしてなんかヒヤヒヤする。  とはいえ、モッチャンのように喚きたてることはなかったものの、退屈し始めたのは俺達にしても変わりはない。 「じゃ、そろそろ屋上の方へ行くか……」  そんな皆の気持ちをサンロウが代弁し、俺達は一階部分を出ると屋上へと向かった。
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