君の知らない、君の好きなところ

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 小学生の頃、くだらないことで友達とケンカして公園の遊具の上で泣いてる私に声をかけてくれた。それから、私はずっと彼を目で追ってしまう。  会話なんて数えるほどしか、していないのに。  少しでも近づきたいのに、それでも、うまく話しかけることも、面白い話もできない。だから、精一杯のあいさつだけを毎日笑いながら言葉にするんだ。 *  *  *  ソワソワと彼が来るのを待つ。配信をしてるということは、私も同じ動画アプリを使ってる、ということだと昨日の夜中に気づいた。それから、ずっとどの動画の話題をしようか一晩中考えていたのだ。  教室に入ってくる彼の姿を確認して、大きく息を吸い込んで立ち上がる。 「おはよう! 柴野くん」 「うん、おはよう。空葉さん」 「あのね」 「あ、ごめん。友達に呼ばれてたから」  そこで会話は終了。嫌われてるのかもしれない、と思ったことは何度もある。私何かしてしまったのだろうか。  そもそも、柴野くんはあの日のことを覚えているんだろうか。  
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