君の知らない、君の好きなところ

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 友達とケンカして泣いていた私に、「大丈夫?」ってハンカチを差し出してくれた。私はそのハンカチをぐしゃぐしゃに濡らしながら、友達の悪口ばかり口にした。 「私は友達なのに。置いていかなくてもいいじゃん、私だけ仲間外れにするなんてひどいよ。意地悪したかったのかな、もう私もいるの嫌だったのかな」 「でも好きだから、泣いてるんでしょう?」  私の本当の思いを見透かしたような言葉に、恥ずかしくなって全身から熱が出た。好きだから、ずっと友達でいた。運動が苦手でとろい私に、「おっそいな!」とはいうけど、いつも待っていてくれるあの子が好き。  今日はどうして置いていっちゃったんだろう。 「合わないところも人間だからきっとあるんだと思うよ、それに何か理由があったのかもしれないし」 「あの子みたいになりたかった。そしたら、こんなことにならなかったのに」 「君には君の良さがあるんじゃない?」 「私の良さ?」 「そうやって泣きながらも、友達のこと大好きなところとか」
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