君の知らない、君の好きなところ

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 あの子になりたくて、あの子に憧れて無理をしていた私には、びっくりな一言だったんだ。 「友達のことはみんな大好きでしょう」 「ケンカしててもそんなに好きなのは優しいと思うよ」  同い年くらいのその子の言葉は、私にしっくりとハマった。 「それにさ、スポーツじゃない遊びなら一緒にできるんじゃない? ずっと一緒じゃなくても、それなら安心でしょ?」  アドバイスにたしかに、と何度も頷いた。私が泣き止んだのを確認して、その子は小声でぼそっと「いいなぁ」と言葉にする。 「なにが?」 「あ、聞こえてたか」  てへへと照れたように笑って、私の目を見つめる顔。よく見れば目の上に、傷がある。 「友達いないんだ」 「なんで?」 「こんなんだから?」  ズボンを捲り上げた膝のところに、大きな傷跡が残っている。 「痛い、の?」 「ううん、もう痛みはないけど。膝もおでこも気持ち悪いでしょ」 「そんなことない!」  気持ち悪いわけがない。痛そうだな、とは思ったけど。
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