君の知らない、君の好きなところ

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「あはは、ありがとう。やさしいね」 「気持ち悪いって言う方がおかしい!」  ちょっぴりだけの傷跡……私には可愛く見えて、触れたくなって、しまったんだ。 *  *  *  柴野くんには、相変わらず話しかけられない。私から逃げ続ける。私のことが嫌いなんだろうか。  あの日のことを覚えてる、ずっと好きでいるのは私だけで、柴野くんにとってはなんてことない一日だったのかもしれない。  それでも、好きで、近づきたいのに。どうしていいかわからない。  動画アプリを開いて、日課になってしまった柴野くんの動画を見る。珍しく恋愛相談に答えていた。 「好きな人がいます」  そう読み上げて、ふぅっと一呼吸置く。まるで柴野くん自身のことを話してるみたいで、胸の奥がズキズキとする。 「近づきたいのに、その人との距離が縮みません。どうしたらいいですか」  読み終わって、乾いた笑い声を出す。いつもの柴野くんらしくない反応に胸がざわめく。 「僕が知りたいや」  続きの言葉を聞きたくなくて、一旦停止。コメント欄を開けば、柴野くんへの応援のエールで溢れていた。いいなぁ、柴野くんの好きな人。
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