君の知らない、君の好きなところ

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 柴野くんに思われていて、柴野くんのフォロワーにも応援されてるんだよ。すごいな。  続きを見る勇気は全く出なくて、アプリを落とそうと指を動かした瞬間続く言葉が耳に届いた。 「僕の初めての友達なんです。あ、お悩み相談じゃなくて、僕の自分語りになっちゃうけど、聞いてもらえたら嬉しいです」  初めての、友達。という響きに、絶望感と期待が入り混ざって、おかしくなりそうだ。慌てて止める。  あの時のことを覚えてる? 覚えてなくて私じゃない友達の話?  深呼吸を繰り返して続きを確認する。 「僕は自分の見た目に自信がなくて、だから、卑屈っぽくて、いつも一人でした」  綴られる言葉は、柔らかい音なのに、私の胸を締め付ける。あの頃の、小さい棘のある言葉は、まだ柴野くんを苦しめてるんだね。 「そんな僕に、私が初めての友達になってあげる! って言ってくれた女の子がいたんです。すごく嬉しくて、一瞬で好きになってしまいました。でも、その子は、僕と違うんです」  私のことだ。そう確信した瞬間、心臓の音が鳴り止まない。 「友達だっている。僕と違って人から好かれる人間だから。釣り合わないってわかってるんです。でも、毎朝笑顔で挨拶をしてくれるたびに、名前を呼んでくれるたびに、好きが強まっていく……僕はどうしたら、いいんでしょう」  最後の方は震えてる声だった。まるで、愛しくてたまらないみたいな声の出し方だ。私のことが好きで、好きでたまらないって、声が、言ってる。
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