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願いを込めるように公園の犬の遊具に座る。そういえばこの犬、芝犬だったな、なんて思う。だから、芝犬のエフェクトなんだろうか。
って、考えるのは流石に自意識過剰かな。
芝犬の遊具をぎっこんぎっこん揺らしながら、来るかもわからない彼を待つ。来てくれたら、すぐ伝えよう。好きですって。
深呼吸をして、星を見上げていた私に、嬉しい知らせが飛んできた。
「空葉さん!」
息を切らして、心配そうな顔で私を見つめてる柴野くん。
「ねぇ、柴野くん。ずっと、ずっと、あの時から私、柴野くんが好きだったんだよ」
言葉が詰まりかけて、それでも、想いを言葉に乗せる。柴野くんが泣き出しそうな顔で笑うから、あぁ、私のことであってたんだ、って安堵で崩れ落ちそうだった。
「空葉さんが、好きです、僕なんかで」
「なんかじゃない、優しい言葉が好き。柴野くんの傷跡も全部含めて、私は可愛くてたまらないよ」
やっと触れたおでこの傷跡は、じんわり熱く感じた。
<了>
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