セリ・オヒタシーと忍犬モロコシ

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宇宙警備大隊長「セリ・タニハエール」の ひとり娘「セリ・オヒタシー」が 行った前回の旅、 (M(メシエ)31アンドロメダ銀河の恒星セロリの第3惑星パセリまでの旅) から、数ヶ月が過ぎていた。 あの時の旅に「セリ・オヒタシー」の護衛犬 として連れて行った「忍犬・モロコシ」 すっかり、懐いてしまい旅から帰って来ても オヒタシーの側をいっ時たりとも 離れることがなかった。 (オヒタシーの足にマウンティングしまくり) オヒタシーもモロコシを可愛がり側に置いていた オヒタシーが住んでいるこの惑星、 恒星バナーナの第4惑星レッタス。 宇宙大隊長が居るとあってこの星の治安は すこぶる良い。 しかし此処、数ヶ月前から他の惑星からの密航者が街を荒らして居るとオヒタシーは、友人から 聞いていた。 まだ、大した問題は起こしていないようだが 何か大きな事があってからでは遅い。 オヒタシーは、父親にも護衛のふたりにも 内緒でモロコシを連れて夕方の繁華街に 出向いてみた。 しかし、別段変わった所は無いように思えた。 大通りには人が激しく行き来している。 モロコシもオヒタシーの側をいっ時も離れずにいた、このような所は護衛犬として合格の モロコシだったが、他の散歩をしている 女子わんこが居るとそちらに、気を取られ オヒタシーの事を忘れるくらい に視線が釘付けになって、 そんな時は前を見ずに歩くものだから、 壁や障害物に頭からぶつかってしまう。 こんな所は忍犬として全く情け無く無様な姿を 見せる、モロコシだった。 「モロちゃん、しっかりしなさい! たるんどるぞ!君は!」 オヒタシーがモロコシに注意をした...が モロコシは聞く耳を持っていなかった。 よほど気に入った女子わんこが居たのか スルッと首輪から抜け出しその子のところに 走って行ってしまった。 「モロちゃん!どこ行くんですか!」 オヒタシーの言葉など聞こえていないのか 忍術『首輪抜け』のような技?を使い 風のようにどこかに消えてしまった。 ひとり取り残されたオヒタシーは少しばかりの 心細さを覚えながら、街の治安を見て歩いた。 これと言っておかしい所は見受けられなかったので、「モロコシ」を探しながら帰る事にした。 とは言っても、厳しい訓練を受けて来たモロコシは、どんなに遠く離れても自分の帰る所は わかるのであった。 あたりが暗くなって来た夜道を オヒタシーはひとりで歩いていた。 街には何度か来ていたオヒタシーだが ひとりで歩くのは初めてだった。 来た道を引き返していたつもりが、どこで 間違えたのか、来た時の景色とはまるっきり 違っていた。それに人通りも少なくなっていて 薄暗い道を、心細げに歩いていた。
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