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イヌもネコも、人が家で飼育するべき動物である。動くなら自由にすべき。そうして放置するのは生き物の命ということをカイヌシサマは知らないのだろう。
カイヌシサマはお偉いのだから。カイヌシサマはお忙しいのだから。カイヌシサマはお優しいのだから。カイヌシサマは御主人であらせられるのだから。
ケガをした我らを助けるカイヌシサマはなんてお優しいのだろう。病気を治せるカイヌシサマはなんて賢いのだろう。餌をくれるカイヌシサマは、おいもっと寄越せ。
自惚れているカイヌシサマほどろくでもない。なんにもわかっていない。おやつをくれない。遊んでくれない。撫でてもくれない。褒めてもくれない。
溜まる溜まるトイレに糞がたまっている。おまけに鬱憤がたまりきっている。地べたに泥団子が撒かれている。道路に血肉が散乱している。余計な命は潰されて当然だと、悲鳴も断末魔も聞いてやくれない。
お前に何がわかる。お前は何をわかってくれる。わかろうともしないくせに。
わかる主人は気づいてくれる。
神様ではないが違うということに気づいてくれる。
お腹がすいた。喉がかわいた。暑い。寒い。痛い。寂しい。楽しい。
いつもと違う何かが我らに起こっているのだと、ずっとのおうちの主人は気づいてくれる。わかってくれる。見て見ぬふりするな、これから遊びの時間だぞ。
人は神様ではない。だから間違う。
完璧なんて望めないことを我らは知っている。それでも愛玩動物は生まれてしまった。産まれてしまった。産んでしまった。
人は間違う。道を誤る。だから気づいて欲しい。この道は違うのだと。
間違うことは恥ずかしくない。我らもトイレを何度も間違える。たまにわざと間違える。だから知って欲しい。これは違うのだと。
人は間違える生き物なのだろう。間違いを正そうとすることのできる賢い生き物なのだろう。ならば声を掛け合って道を正して欲しい。
ここよりもっと良い道があるのだと、探して欲しい。
そのおもちゃよりこっちのおもちゃの方が我は好きだ。いや、やっぱりそっちだ。いつだって些細な変化に気づいて欲しい。
人が始めた道なのだろう。責任という業を背負って最期まで面倒をみよ。
途中で投げ出すことは許されない。
イヌもネコも見ている。なんでこの生き物は自分のために頑張ってくれているのかと。
人よ、もっと寄越せ。我らは愛情を知らずに逝きたくない。
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