忘れられない彼

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「水谷くん、休憩入っていいよ」 「はい、分かりました」  朝からいろいろやっていたらもう15時になっていた。 俺は新しいパンフレット作りのため、パソコンとにらめっこしていた。すると水谷くんが近づいてきた。 「店長、今日はすみませんでした。今日っていうか、今日ですね…」 「いいよいいよ、たくさん失敗して、そこから学んで次に活かしてくれればいいから」 「はい…」  水谷くんはまだしょぼくれていた。不器用だが、真面目なところが水谷くんのいいところだ。  思わず笑みが零れた。彼の新しい一面を今更ながら見れた気がして。  彼は完璧な人だった。仕事が出来て、家事が出来て、いつも余裕があって…。  また彼のことを考えていた。頭を左右に振り、現実に戻る。  水谷くんとの間に少し気まずい静寂が流れていた。 「コーヒー淹れるよ。そこで待ってて」 「はいっ」  水谷くんの顔はまた明るくなった。
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