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振り向くと、水谷くんは俯いている。
「どうしたの、水谷く…」
言葉を遮られるように、唇に水谷くんの唇が当たった。すぐに顔が離れ、水谷くんを見ると、水谷くんの顔は真っ赤だった。
「すみません、なんか我慢できなくて。あの、もう少しゆっくりしていきませんか」
ゆっくりしていく、の意味が分からないほど俺は子供じゃない。
ふと彼の顔が思い浮かぶ。
俺は、彼を忘れられないのに。俺は彼を追いかけて、水谷くんと付き合っているんだろう?なのに、この先に進むのはとても怖い。
「ごめん」
足早に玄関に向かい、靴を履いてドアを開けた。
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