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「店長っ!」
後ろで水谷くんの声がした。俺は振り向かないまま進んだ。
「店長、待ってください!」
水谷くんが俺の横に追いつき、俺の肩を掴む。水谷くんは俺の方を見ているが、俺は顔を背ける。
「ごめん」
「謝らないでください、俺が悪いんです」
「ごめん…」
俺は、何に対して謝っているんだろう。また彼の顔が思い浮かぶ。
「ごめん…」
俺は結局前に進めないままだ。水谷くんを振り切り、ずかずかと前に進む。
「店長!危ない!」
少し後ろから水谷くんの声がした。顔を上げた時にはもう遅かった。
車のライトが、目が痛むほど眩く光る。その後ろには歩道の赤信号。ちゃんと前を見ていなかった。
轢かれる…!
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