おもかげ

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 何かにぶつかる衝撃で思い切り倒れ込んだ。でも、地面に倒れ込んだ痛みだけだった。  少し痛む体を起こすと、目の前に頭から血を流して倒れている水谷くんがいた。 「水谷くん…?水谷くん!」  急いで駆け寄り、そう叫ぶ。 「てん、ちょ…。無事で良かった…」 「水谷くん、しっかりしろ!」  それから水谷くんは返事をしなかった。  通行人が呼んでくれたのか、救急車のサイレンが遠くで鳴っている。 「死なないで…。俺を置いていかないでくれよ」  零れ落ちた涙が水谷くんの顔をつたる。俺は水谷くんを抱きしめることしかできなかった。
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