泡沫の夢

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 カラン、コロン…  ドアが開いた。 「こんにちは。面接を受けに来ました。水谷宏です。よろしくお願いします」  入ってきた青年がぺこりと頭を下げた。そして顔を上げた瞬間、心臓が大きく脈打った。  大きい目、高く整った鼻梁、すらっとした背丈。  亡くなった彼にそっくりだった。  思わず立ち尽くしていた。店に静寂が走り、ボサノバのBGMが鮮明になる。 「ああ、奥にどうぞ」 「はい!」  妙に口の中が乾いていた。拭いていたカップを置き、奥へ案内した。
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