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「じゃあまず、志望動機を聞かせてもらおうかな」
「はい。このお店で働きたいと思ったきっかけは、すべての人に安らぎを与えたいというコンセプトに共感したからです…」
水谷くんはたくさん話してくれたが、全く頭に入ってこなかった。履歴書を隅から隅まで見たが、彼との共通点は同じ男ということしかない。
水谷くんは緊張している目でこちらを見ていた。俺の中ではもう考えは決まっていた。
「水谷くんを採用したい」
そう言うと水谷くんは、ぱあと効果音が付きそうなほど顔を明るくした。
「ありがとうございます!」
水谷くんを採用したのはもちろん人柄が良さそうのもそうだが、まだ彼を求めているからかもしれない。
たとえ別人であっても、彼と重ね合わせて、自分の傷を癒そうとしているのかもしれない。自分はまだ子供だと思った。
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