忘れられない彼

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忘れられない彼

ガシャーン! 「すみません!」  また水谷くんが何かやってしまったようだ。 「大丈夫かい?怪我はない?」 「はい…大丈夫です…」 「待ってて、箒を持ってくるから」 「店長…すみません…」  水谷くんはよくカップを落としてしまったり、おつりを間違えたりする。  箒を持ってきて、割れてしまったカップを片づける。 「水谷くん、ここはやっておくからレジをお願いしてもいいかな」 「はいっ」  水谷くんがレジへ向って行く姿を見送る。その後ろ姿もよく似ていた。  俺がいつも追いかけていた背中だ。  またぼーっとしてしまう前にさっさと片づけてしまおう。
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