No.6 子供🔞

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No.6「子供」🔞 登場人物名  ・受け 名取晶……オメガ。小野寺とは高校時代からの友人で同僚。 ・攻め 小野寺祐樹…アルファ。名取とは高校時代からの友人で同僚。 「ベータですね。」 医者に言われた言葉は、俺が一般人であることを示していた。 オメガではないことにホッと安心し、そしてアルファではないことに少し落胆する。 ベータであれば、説明はあまり要らない。 すぐに病院から帰宅し、両親や、どうだったかと茶化してくる友人らの連絡に返信していった。 それから、十数年後。 「……名取って、ベータだったよな。」 「へ?うん、そうだけど。…何、自慢か?自分がアルファだからって、何回も聞いてきやがって……」 最近、よく小野寺にベータだったよな、と聞かれる。 彼はアルファだから、自慢したいのかと思ってケッと吐き捨てるように文句を言った。 「…いや。そう言う事じゃない。…なぁ、名取、一回病院行かんか?もう一回、ちゃんと検査しようぜ。」 「はぁ?お前アホか。ちゃんと検査した結果がベータだったんだろ。いい加減しろよ。」 何だコイツ、と不満げな視線を向ける。 ぐったりと投げ出していた体に力を入れ、上半身を起こした。 「……いつも通り、割り勘でいいだろ?俺、先風呂入ってくるから。」 「…おう、分かった。」 何を考えているのだろうか。 眉間に皺を寄せて、顔を顰めている小野寺を横目に、備え付きの風呂場へ汗を流しに向かった。 俺らは、所謂セフレという関係だった。 小野寺はアルファで、俺はベータ。 もしナカに出されても、妊娠する心配は無い。 小野寺はアルファだから、運命の番が見つかるまでの間だけ、と俺から誘った。 ……それなのに。 「妊娠、三か月ですね。」 「……はい?」 最近、体の調子が悪くて病院に来ていた。 そして医者に言われたのが、「妊娠している」という言葉だ。 意味が分からない。 「ちょ、ちょっと待ってください!お、俺、ベータ、で……」 「…そうですね。過去の検査では、ベータとなっています。ですが……」 詳しく話を聞くと、人によって検査結果が出るのが遅い場合があるらしい。 稀に、皆と同じように検査をしても、まだ性別が別れていないから判断されず、ベータと結果が出てしまう事があるそうだ。 俺は、その稀なケースだったらしい。 「で、でもッ…ヒートとか、来たことないし……」 「…貴方の場合、検査結果はベータに近いオメガでした。つまり、つい最近になってオメガになったという事です。」 「そ、んな……」 性別は、成人する前に分かるものだ。 今俺は、30代前半。それまでずっと、性別が決まっていなかったというのか。 「恐らくこれから、ヒートも来るようになります。妊娠なさっているので、お腹の子供が生まれた後になるでしょうが。」 「……そ、んな……」 だとしたら、体の関係を持っている相手は小野寺しかいない。 腹にいる子は、俺と小野寺の子供なのだ。 「……なってしまったもんは、仕方ない、よな。アイツとの子なら……」 元々、ダメ元でセフレ関係を持ち込んだのは俺だった。 小野寺の事が、好きだったから。 彼はアルファで、いつかきっと番ができる。それまでの間なら、俺が貰っても良いだろうと考えて誘った。 だから…… 「……産みます。」 「…いいんですね?」 「はい。折角俺の所に来てくれたコイツを、殺すなんてしたくない。」 覚悟を、決める。 これから、大変な人生になるだろう。一人でこの子を産み、発情期の起こる体と付き合いながら、一人で育てなくてはいけないのだから。 「小野寺、ちょっと相談があるんだけど。」 「……ん?どうかしたのか。急に改まって……」 最近、名取から甘い香りがするようになった。 それは発情期の近いオメガから発せられる匂いと似ていて、疑問に思っていた。 名取は、ベータだった筈だ。今まで一度もそんな匂いをさせたことが無いし、薬を飲んでいる気配もない。 発情期が来て仕事を休むという事も無かったのに何故、と。 だから、病院を受診することを勧めた。 もしかしたら病院のミスで、本当はオメガかもしれないから。 だがいつも適当にあしらわれてしまい、彼が病院に行くことは無かった。 「…ちゃんと聞いてんのか?ぼーっとすんなよ、こっちは大事な話しようとしとるんだから。」 「あぁ、悪い悪い。で、何やったっけ?」 「そろそろ、この関係も終わらさんとと思って。小野寺は早く、番見つけんとだろ?」 「………は?」 突然言われた言葉は、僕を呆けさせるには十分だった。 あんぐりと口を開き、名取を凝視する。 「な、に言ってるんだよ……声かけてきたんは、お前だろ…?」 「だから、終わらせようかって言ってるんだよ。これ以上、俺で小野寺を縛り付けるのは悪いなって思って。」 意味が分からない。 自分からセフレになろうと誘ってきたのに、勝手に切り捨てるのか。 理解、できない。 「……ふざけてるのか。そんなの、自分勝手だと思わないのか?」 「ッ、それは…そう、だけど。でもッ!これはお前の為でもあるんだぞ?な?」 「いいや、全然僕の為じゃない。他に気になる奴でもできたのか?僕を捨てて、新しい男に乗り換えるのか?」 ふつふつと、怒りが込み上げてくる。 僕は名取が好きだが、彼にとってはただの性処理の道具でしかないのだろう。 飽きたらポイ。捨てられて終わり。そんなの、絶対に許さない。 「ッ!?お、小野寺……?」 「…もういい。乱暴にするから、逃げんなよ。」 ひっ、と小さく悲鳴を上げた彼を無視し、ベッドへと押し倒した。 何で。なんで、こうなったんだ。 「あ゛ッひ、やだ…やだぁッ!おの、ッおのでら、ッとめ、ッ…もぉ゛とめでッ…!!」 俺の腹のナカには小野寺の膨大なモノが埋め込まれ、ずりずりと何度も引き抜かれ、押し込まれる。 腹の子は大丈夫か、とか、何で怒っているのか、とか。 心配な事と分からない事だらけで、頭の中がごちゃごちゃになる。 「ッは、逃げんなよ。」 「あ゛、ガッッ…ッひ、ぃ゛~~ッッ!かハッ、ッお゛、ぁ……ッッ!!」 「なあなあ、何で逃げるんだ?僕のこと嫌いになった?飽きた?それとも……」 「ッひ、やだ…もッ、もぉ゛つらいッ…つらッ、からぁ゛ッッ!!」 嫌だと、辛いと何度言っても、小野寺は聞いてはくれない。 何故。俺と小野寺はセフレの筈で、俺を引き留める理由も、権利も彼には無い筈だ。 それなのに何故、俺は彼に責められるように抱かれているのだろうか。 「それとも、他の男でもできた?」 「ッお゛、あ゛ーー~~~ッッ!!」 ごちゅん、と最奥を突かれ、結腸…今はもう子宮と化した場所にグポ、と入り込む。 カクカクと腰が揺れ、あまりに強い刺激に目を見開き、失神しかけた。 「カヒュ、ぉあ゛、ア゛ッッ…ひ、ッ…だめ、おのッ…そこだめ、ッ…あかちゃ、しんじゃッッ……!!」 「ッは、……はぁ?」 「も゛ッ…ゆるしでッ…だめッ…これ、いじょッッ……」 これ以上やったら、赤子が死んでしまう。 折角、小野寺との子を授かったのに。 嫌だと泣きながら首を力なく振ると、小野寺の動きが止まった。 「……どういう事だよ。もしかして、妊娠してるのか?」 「ッ、ん。んッッ…」 この行為をやめて欲しくて、必死に首を振る。 すると、赤子がいるというのに何故か小野寺の動きが再会した。 「あ゛ッッ!?なッ…なんで、ぇッ!やめ、おのでらッ…やめでッ、むり゛ッ…しんじゃ、うッ…だめッッ」 「別にいい。僕以外との男のガキなんて、お前には悪いけど死んでもいいわ。」 「ッッ!?」 どういう意味だ。小野寺以外の男との子供なら、死んでもいい? それなら、小野寺との子だったらどうするのだろうか。 「ッッ!?!?ちッ…ちが、ぁッ…おのッ…おまぇ、、のッ……」 「……僕の?」 動きが、緩やかになる。 子宮から彼の大きなモノが抜け、前立腺を刺激するような動きに変わった。 「おッ、まぇ…いがいのッ、ぉとこッと…やッて、なッ…あ゛ッ…それだめッ…またイ゛く、ッぃぐッッ、ッあ゛ーー~~~ッッ!!」 グリグリと前立腺を先で押し潰され、腰が跳ねる。 ぎゅう、と彼のモノを締め付けながら何度目かの射精をしてしまった。もう、精液も薄い。 「ッは、はぁッ…はーッ、ぁ……」 するり、と小野寺のモノが抜かれた。 彼はまだイっていなくて、大きいままだ。だがそれどころではないのか、息を整えることに必死な俺の顔を覗き込んできた。 「僕との子って、ことか?」 「はーッ、はッ…ん、たぶ…そぉッ……」 「じゃあ何で終わらそうとしたんだよ。子供出来たんなら、むしろ離れられないだろ。」 ぐったりとしている俺の額を撫で、前髪を掻き分ける。 労わるような手つきが心地よく、眠ってしまいそうだ。 「だ、って…おれ、べーた、だと思ってたし……勝手にこどもできたら、迷惑、だろ……」 「やっぱりオメガだったんだな。最近、お前からヒートっぽい匂いがたまにしてたんだよ。薄いから、他の人は気づいてなかったみたいだけど。」 だから病院行けって言ったんだ、と言われて、そういえば最近何度か同じことを言われたなと思い出した。 「…ん、それで……この前、病院行って来たら…妊娠、三か月だっていわれて。」 「三か月前ってことは……僕らがセフレになって、暫く経った頃か。」 「そう。でも俺、小野寺以外と寝たことないし、確実にお前との子だろうなって……」 思って、と言いながら、なぜかボロボロと涙が溢れる。 妊娠して、情緒が不安定になっているのだろうか。 「ッえ゛!?な、泣くなって……そんなに僕との子が嫌なのか?」 「ッ、ちが……ちがぅ、けど…ッッ、なんか、とまんな…ッッ!」 駄目だ、止まらない。 小野寺が慌てているのが分かるが、あふれ出した涙を止めることが出来なくて、両腕で顔を隠した。 「……名取、何で僕とセフレなろうと思った?」 「ッ…そ、れは…ッ、小野寺の、番できるまで、なら…俺がもらっても、いいかと…おもって…ッ」 「じゃあ、僕の事が好きだから声かけてきたのか?」 「ん、ッ…」 あぁ、バレてしまった。 だがもう遅いだろうと、小野寺の言葉を否定せずに首を縦に振った。 「……そうか。僕も、好きだ。お前が別の男との子を孕んだかと思って、子供を殺して無理矢理番にしようかと思うくらい。」 「ッッ!?」 ベッドに背を預けていた俺の肩を掴み、小野寺によって体を起こされる。 そのまま背中に腕をまわされ、ぎゅっと強く抱きしめられた。 「なぁ、名取。僕と番になろう。運命とかは分からないけど、番になったらそんなの関係ないだろ?」 「ッあ、お…おれで、いいの…?」 「僕はお前がいい。」 「ッッ~~!!」 腕を軽く引っ張られ、大人しく顔から両腕を退かす。 顔を真っ赤にした俺を見て、小野寺がクスクスと笑った。 「ふはっ、かわいいな。」 「ッあ……ッ!ん、んッ…」 小野寺の顔が近づいてきたかと思うと、すぐに唇に柔らかく熱いものが触れる。 ぎゅっと目を閉じて、彼から与えられるキスを享受した。 「は……ッ、こども、産まれたら…僕と番になろうな。それまでは色々お預けだけど。」 「ッッ……ん、おう。」 嬉しい。こんな形とはいえ、彼と想いが通じ合ったことが嬉しい。 あまり見たことのない優し気な視線で俺を見る小野寺に、感極まって彼に手を伸ばし、ぎゅっと抱きついた。 「……小野寺。そろそろ、いいよ。」 あれから二年。俺らはあの後すぐに結婚した。 産まれた子は現在1歳で、今は別の部屋で眠っている。 出産後の体でも関係なしに、三か月に一回訪れる発情期に悩まされながら、今日までどうにか暮らしてこれた。 だが、今日は彼と番になる日だ。 ようやく性行為ができる程に回復し、小野寺を誘う。 これで、小野寺と本当の意味で番になれる。 「…名取。」 「もう俺、名取じゃないよ。」 「…ならお前も名前で呼べって。」 寝室へと誘うように腕を引っ張ると、小野寺_祐樹が嬉しそうに笑う。 出産後の俺を気遣って手を出してこなかった彼には、ずいぶん待たせてしまった。本当はすぐにでも番にしたかっただろうに、祐樹はずっと待っていてくれた。 そんな気遣いが、嬉しくて。 俺も、ようやく彼と番になれ、他のアルファから狙われると怯えて暮らさずに済むのだ。 「なぁ、俺と番になって。俺、ずっと祐樹と一緒にいたい。」 「僕も。ずっと、晶と一緒にいたい。」 ベッドの上で、久々に彼とじゃれ合う。 顔を寄せ、鼻同士が触れ合い、目を閉じるとキスをされる。 これから彼と番になるのだと思うと、緊張と嬉しさで心臓がドキドキと高鳴った。 「…愛してる、晶。」 「……ん、俺も。愛してる、祐樹。」 祐樹も久々だからか、緊張しているらしい。 緊張で顔が強張っていたが、お互い同じなのだと分かると、すぐにクスクスと笑い始めた。 「ふはっ、ふははっ…俺ら、初めてでもないのに何でこんな緊張してるんだろうな。」 「はは、本当にな。何でだろ。」 まずは触れ合う事からか、と祐樹が俺の側に寝転がる。 互いに向かい合い、何度か軽いキスをしながら、腰に手をまわしてぎゅっとくっついた。 「…ゆっくりでいい。焦る必要はないよな。」 「……ん。ゆっくり、愛して。」 俺に向けられる優しい視線に、俺も微笑み返した。
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