<過去の話>

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「君が好きだ。この気持ちがずっと続くなら結婚しよう」 あの頃の私は結婚という言葉だけを切り取って聞こえていた気がする。 けれど、人間の脳は凄くて記憶は言葉をすっかり覚えていた。 そんな言葉から5年、一緒に暮らしているが結婚の”け”の字もあの日からでることは無かった。 28才、いわゆるアラサーで友人の結婚披露宴に招待されることが多くなってきた。結婚について聞いてみたい気がするが自分から聞くのは重いんじゃないかと聞きたいのに我慢をしていた。 まだスマートフォンは無く、いわゆるガラケー全盛期で、家族として登録してあればお互いの通話料やメールは無料だが、他の携帯会社への通話は通信料がかかる。 籍は入れていないから法律的には他人だけど、携帯電話の契約は”家族”で私が携帯電話料金を支払っていた。 「電話できないこともあるからせめてショートメールを使ってよ」 「いや~難しいよ」 夫は私よりも7つ年上でびっくりするほどの機械音痴で尚且つ、興味のないことは覚える気がなく携帯電話はテレフォンカードのいらない”電話”としてしか考えていない。 いくら私が教えると言ってもかたくなに断っていた。 飲みに行くのが好きな夫は週に一度のペースで飲みに行っていた。 仕事のストレス発散の為には過度でなければ飲んでくるのはいいと思うし、何よりも夫の口癖は「食べたり飲んだりは場の雰囲気を楽しむのが一番」だった。 私も仕事をしているから夫の食事の支度が無い夜はゆったりと自分の時間がもててそれなりにいいと思っていた。 夫と言っているが、そのころはまだ籍が入っていいないから彼という言い方の方があっているのですが、便宜上夫ということにする。 そんなある日のこと、携帯電話の請求書に違和感を感じた。 このころは”紙”の請求書が届いてからクレジットカードからの引落になっていた。 もちろん私が支払っているのだから、私宛に請求書は届く。 いつもほぼ同じ金額なのに、その月は夫が持っている携帯番号の”メール”料金が不自然に多かった。 メール?
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