そして、時夫の時が動き出す

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 僕は思わず彼女に抱き付いた。彼女の肩に顔を埋めて、今度は僕の方が泣いてしまった。シロちゃんに最後に会った日、僕は泣くのを我慢していた。でも、この時ばかりは涙なんて止められない。  シロちゃんに会えた。その事実だけで、理由は十分だった。  シロちゃんは最初驚いていたみたい。だけど、ゆっくりと僕の首に手を回して抱き締めてくれた。  しばらくお互いの存在を確かめ合うように抱き合っていると、突然シロちゃんが僕の名前を呼んだ。 「ねえ、時夫」 「何、シロちゃん?」  シロちゃんと僕はお互いに見つめ合った。 「私、大人になったよ」  それは、本当のことだね。僕はそう返事するように、笑い返した。 「それでね、お父さんとお母さんの家を離れて、今は一人暮らしなの」彼女は続けた。「だから、その、……私たちが再会して、最初の冒険はどこの世界にしたい?」  僕は驚いて彼女の顔を見つめた。 「シロちゃん、それって……!」  シロちゃんは嬉しいような照れ臭いような顔をして、にっこり微笑んだ。 「長く待たせちゃってごめんね」  一呼吸置いて、彼女は言った。 「一緒に冒険、してくれる?」  僕は思わず彼女の両手を握り締めた。 「もちろんだよ‼︎」  僕たちは再び抱き締め合った。
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