そして、時夫の時が動き出す

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 冒険用の装備に着替えた僕は、シロちゃんと共に部屋を出る。その間、僕とシロちゃんはこれからの冒険の話ではしゃぎっ放しだった。 「久しぶりの冒険だね! どの世界に行こうか?」僕がシロちゃんに聞いた。 「時夫が決めていいよ」シロちゃんが無邪気にニヤリと笑う。  自分で決められない時、シロちゃんはいつも僕に丸投げする。そこも、彼女の愛らしいところではあるんだけど。 「そうだな……」  しばらく考えた結果、僕は手を鳴らして言った。 「吸血鬼と狼男のいる世界はどうだろう? それだけじゃないよ、魔女もいるし妖精もいる、そんな幻想的な世界!」  シロちゃんは「いいね」と白い歯を見せて笑った。  彼女は、目の前に浮かび上がった青いキーボードを打ち鳴らした。これが、冒険の世界へ行くために必要な、ワープ装置なのだ。 「それじゃあ、行こう! 怖い魔物も綺麗な妖精も現れる、ハラハラドキドキの冒険へ!」  僕たちは、カラフルな光の中に包まれた。
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