そして、時夫の時が動き出す

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 ストーブを焚いた部屋の中、「シロちゃん」こと粉雪シロはパソコン画面と睨めっこしていた。  昨日で引っ越し手続きも終わり、待ちに待った執筆作業の時間がやってきたのだ。  長かった。両親の言われるがままに良い大学へ入学し、良い会社に入社した。その間、大学の授業や就活で書きたい物語が書けなかった。  主人公の「時夫」は、『創作ノート』と題する普通のノートの中で随分待っていたことだろう。 「ごめんね、時夫」粉雪シロは「時夫」を見つめたまま、部屋の中で一人呟いた。
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