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ベッドの前に佇んだシロちゃんは、しばらく押し黙ったままだった。僕は彼女が話し出すのをずっと待っていたんだけど、とうとう沈黙の時間にウンザリしてしまった。
「ねぇねぇ、いつまでも話してくれないとわかんないよ? 何かあったなら言ってよ」
シロちゃんに何があったのか言って欲しいのだと、僕は僕なりに優しく気持ちを伝えた。それでも、彼女は口を噤んで返事さえしなかった。
再び沈黙の時間が続いたよ。それで、僕は堪忍袋の緒が切れたんだろうね。つい怒ってこんなことを言ってしまった。
「何で何も言ってくれないの‼︎ 僕はシロちゃんを信用してるよ? シロちゃんは僕が信用できないの⁈」
何て無神経な言葉だったんだろう。
シロちゃんは、顔をくしゃくしゃの枯葉のように歪めて泣き出したんだ。両手で顔を覆い隠して、しゃくり上げた。円らな瞳から大粒の雫が零れ落ち、板張りの床に水溜りを作る。
僕は「しまった」と思った。シロちゃんが押し黙っていたのは、何か言い出しにくいことがあったに違いない。それなのに、どうしてあの時は怒鳴ってしまったのだろう。
「ごめん、怒鳴ったりして」
僕はシロちゃんの頭を撫でたりして、彼女が泣き止むのを待った。
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