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シロちゃんの涙で晴れた瞼からは、青空に似た青い瞳が見えた。僕は彼女の澄み切った瞳が大好きだった。でも、その時の彼女の瞳はなぜか曇り空だったんだ。
ようやく泣き止んでくれたけれど、シロちゃんはまだ黙りこくっていた。僕は彼女の態度に苛立ったけど、さっきみたいに怒鳴ったらシロちゃんはまた泣いちゃうよね? だから、我慢して彼女が話し出すのを待ったんだ。
そして、ついにその時が来た。
「ねえ、時夫」シロちゃんは僕の名前を読んだ。
「何、シロちゃん?」僕は嬉しくなって彼女を見つめた。
彼女は僕に何か話したいことがあるんだ。でも、それは言い出しにくいことでもあった。何だろう? 僕にとって不利益なことでもあるのかな?
例え、そうだとしても、僕はシロちゃんの力になりたい。だからこそ、彼女が悲しそうな顔をしていた時はとても悲しかったし、どうして悲しいのか話してくれなかった時はもっと悲しかった。
だからね、シロちゃん。どんなことでも僕を頼って良いんだよ。僕たちは親友じゃないか。お互いに助け合ってきたじゃないか。
すると、シロちゃんは口を開いた。
「時夫、私もう、冒険できないかもしれない」
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