冬、再び

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 看護師に誘導され談話室に通された。しばらく待つよう告げられ、僕は静かに目を閉じて深呼吸をした。  扉の開く音がした。目を開けると、有村さんが立っていた。  僕は椅子から立ち上がり、有村さんと向き合った。有村さんは僕を見つめ、ドアノブに手をかけたまま、動かなかった。  そして、彼女は笑った。  あぁ、この笑顔。僕が待っていたのは、この笑顔だ。 「お久しぶり」  僕は声をかけた。彼女は1つ頷いて、僕の前にある椅子に腰かけた。    また1から始めよう。  少しずつ、思い出していけばいいよ。  焦らずに。  そして今度こそ、ちゃんと言わせてほしい。  『僕は、有村早希が好きです』と。
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