君を待つ

春、出会い

　久しぶりに、人に触れた。『触れた』なんてもんじゃない。それよりも、深く、強く、包み込んだ。

　つまりは、抱きしめたのです。

　運命は、人生の時々にサプライズを用意しているようだ。それは時に温かく至福なものもあれば、対して残酷で、悲哀なものもあるらしい。

　僕の腕の中にいる君は、今なにが見えているの？

　胸に耳を当てて、早くなった僕の鼓動を聞いているの？

　今にも雪が振りだしそうな寒さの中、僕は彼女の体温を直に感じていた。

　彼女の身体がこれ以上冷たくならないよう、必死で温めながら。