私の好きな人

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「えっ……気持ちは凄く嬉しいんだけど、俺はみくたん一筋だから。それに、都古ちゃんとは歳も離れてるし、いっちーの妹となると……」 俊の返事は、NOだった。 彼の言う“いっちー”とは兄のあだ名で、兄たちの婚約が決まった後でも、彼は兄の婚約者を“みくたん”と呼び、深く想い続けているらしい。 兄とそっくりらしい都古のこの顔を見る度に兄の存在を思い出してしまい、どうしても異性として見ることは出来ないとも言われた。 絶世の色男と名高い兄に似たこの顔が、都古としては結構自信のあるパーツだったのだが、まさかこの顔を理由に振られるとは思いもしなくて。 ブラコンの自覚ももちろんあるが、まさかその大好きな兄の存在が都古にとってのコンプレックスになる日が来ようとは。 本来の意味とは違ってしまうが、そういった意味でも“ブラザーコンプレックス”なのだと痛感してしまう。 だけど、振られたからといって彼を好きな気持ちが簡単に消えるわけもなく、 「うちのお兄ちゃんと張り合えるくらいにカッコイイ人って、俊さんしかいないんだもん」 都古は今も、俊に片想いをし続けている。 「えっ。俊さんと同等って、それってミヤちゃんのお兄さんに対して失礼すぎるのでは?」 風香としては、都古の兄に勝てる男性など存在しないと思っているのに。
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